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<仮銘「浅茅生の月(あさぢうのつき)」真南蛮(沈香)について>
立ち始めに前面に出てくる「鹹」と「辛」の香りが大きな特長の真南蛮です。砂漠を思わせるようなドライな雰囲気を感じさせてくれるのですが、その「鹹」は真南蛮の最大の特徴とも言える要素ですので、ある意味でとてもわかりやすい真南蛮とも表現できます。
110℃くらいの低温で炷くと正にその「鹹」だけをダイレクトに感じることができ、120℃くらいではドライな雰囲気を出す「辛」が力を増し、「鹹」と「辛」のバランスが1:1くらいになってきます。130℃を超えたあたりから急に、これもまた真南蛮らしいどっしりとした濃厚な「甘」を解き放ち、このあたりの温度帯でこの香木の正体ともいえる「甘/鹹/辛」が渾然一体・三位一体となった姿を見せてくれます。「辛」の要素がそれなりに強いものの、真南蛮の代表例の一つとも言えると思います。では、2025年6月現在販売中の推奨香木の真南蛮と比べてみましょう。
「朧月夜」は100〜110℃程度の火加減で炷いた際に、他の香木にはない特別な瑞々しい煌めきをもつ「甘」を感じさせ、村上春樹さんの言葉を借りれば「夏の朝のメロン畑に立っているような匂い」に近いものを感じることができますが、その「甘」の種類は「浅茅生の月」とは全くと言って良いほど違ったものであることが興味深いです。
「白雲」は少し似たタイプとも言えますが、真南蛮らしい「鹹」はわかりやすく感じられるものの、「辛」の要素をあまり持っていないこともあってかドライな質感はなく、「甘」が前面に感じられるという意味で、マイルド・やわらかい香りという印象となります。「花のたより」はかろやかな「甘」だけが持続しつづけるという特徴を持ち、「鹹」「辛」と合わさったどっしりとした「甘」を感じさせる本香木とは良い意味で大きく違うと言えます。
「消えせぬ雪」は馬蹄形というその見た目とは裏腹に、本香木や「白雲」と同様に真南蛮らしい真南蛮と言えます。特に「白雲」とはかなり雰囲気が近く、「甘」と「鹹」のバランスが心地よく、やわらかい印象を感じさせてくれます。そこにドライな質感を感じさせる「辛」が加わっていることが、相対的に考えた時の浅茅生の月の最大の特徴となると言えそうです。
証歌:かげとめし 露のやどりを 思ひいでて 霜に跡とふ 浅茅生の月
(藤原雅経)(新古今集)
【関連香木】
・仮銘「朧月夜」/https://kogado.stores.jp/items/5eeb4ca94268b66ed6b6a0f3
・仮銘「白雲」/https://kogado.stores.jp/items/5eeb4ca84268b66ed6b6a0e9
・仮銘「消えせぬ雪」/https://kogado.stores.jp/items/67bea8f585f934039924d1a6
<香木の切り方(截香方法)について>
基本的に、左記写真「截香図」の形状の様に截香させていただいたものを、該当量分おわけさせていただきます。一木の中には相対的な品質が下~上までさまざまに混在していることが通常ですので、その一木全体の割合となるべく近くなるように部分を選ばせて頂きます。
短辺の長さは約3mm~8mm、長辺の長さはさまざま、厚さは約1mmです。截香図の場合、長辺に対して垂直方向に木目が通っております。木目に沿った方向であれば、カッターナイフなどで容易に、また、手でも割ることが可能です。
截香の形状に関して特別なご要望がおありになる場合には、恐れ入りますがご来店の上ご相談いただくか、メールでご注文下さいます様、お願い申し上げます。
<木所について>
木所の判定・分類は、家元・宗家自らが、歴代に継承される一定の規範に基づいて厳格に為されるもので、詳細は「極(きわめ)」に認められます。仮銘の栞に記載する木所は便宜上の分類であり、正式ではないことをご諒承下さい。なお、木所の後に( )がある場合は、香木自体の種類を記載しています。伽羅を羅国や真那賀、真南蛮に用いる例が増えており、区別するためと、佐曾羅・寸門陀羅は流派によって香木の種類が異なる場合があるためです。
<パッケージサイズ>
192mm×160mm×23mm(畳紙入)
※畳紙の大きさ及び色合いは、香木の種類や分量によって、異なりますことをご了承ください。